リー・ストリンガー「グランドセントラル駅・冬」

グランドセントラル駅・冬  帯に、「何も持たず、誰からも求められず。わたしの十二年の冬、ストリートの真実について話そう」とあるように、路上生活者の赤裸々な自伝を連想した。そして、その書き出しは、

何をしていたのかと言えば、わたしは自分の穴の中で手探りし続けていたのだ。グランドセントラル駅の地下には、人がようやく這って入れるだけの長くて狭い空間がある。(中略)わたしはしばらく前にそこを自分のねぐらと定めることにした。

であり、鋭く写実的な「物語」が始まるのだろう、と想像したのだけど。本書の中ほどで、コミュニティ・サーヴィス(投獄と引き換えに、地域奉仕労働に従事すること)について、描写される。

しかし二週間半従事してみて、わたしは革新を持ってこう言うことができる。檻の中に入れられているよりも、鍬を持って仕事をしているほうが、ずっと前向きで現実的な体験をすることができると。

うむ。白樺派だな。ここまでは、なんとか耐えられたのだが。最後は、支離滅裂なホームレス(薬物中毒者のホームレスも含む)への擁護を展開され、辟易。表紙の写真は、格好いいなあ、というのが唯一の収穫。★☆☆☆☆

 以上、読書メモ。「はてな年間100冊読書クラブ」の2冊目。