鯨統一郎「ミステリアス学園 (光文社文庫)」

  「邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)」がある時のマイ・ミステリ・ベスト10に入るような感動?を覚えたのだけど、それっきり、この作者には幻滅しきり(半分くらいしか読んでいないけど)。で、本作にも気分が低調だったからか、読後のカタルシスは得られなかった。
  しかし、本作品は、バカミスをメタミステリに落とし込んだ記念碑的な作品ではないだろうかね。というレッテルは置いておいて、なによりもミステリ史(国内外問わず)を小説に織り込んでいて、ミステリに興味があるムキにはとてもおもしろい。

探偵小説という名称が消えることになった直接の原因は、昭和二十一年に当用漢字表が告示されたことだ。

  ってな薀蓄がポトポト作中に記されている。物語にのめりこみ、完結する本ではなくて、薀蓄への入り口というのが感想(最近、そんなのばかりだ)。★★★☆☆。