時評:newsを伝えるメディアについて。

  世間では、人々の新聞離れが懸念されています。いや、世間ではなくて新聞業界内部局地的にハナレが懸念されているそうです。「若者の活字離れは嘆かわしい!亡国じゃあ!!」という方向性ではなく、ニュースを新聞・テレビではなくインターネットで取得、活用する人々が増殖していることが懸念されているということです。
  若者の「テレビ離れ」も進行中というらしいと、真偽のほどは不明ですが、チョット驚きました。


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  さて、かような新聞離れに対して、産経新聞社は有料ネット配信(月額315円)で、対抗することにしたようです。


産経新聞Net View
http://www.sankei.co.jp/netview/service.html
アドレスをクリックしていただくとわかりますが、紙媒体の「産経新聞」紙面をそのまま再現するような作りで配信するようです(平成17年10月1日配信開始予定)。


  新聞紙面は、人間工学を研究し、最適な視覚性を実現する段組で構成されていると聞いたことがあります。たしかに、各種ポータルサイトのニュース画面は、そこまで考えているようには感じられません(もちろん閲覧する端末の設定で、視覚性も異なるわけで)。したがって、紙面丸ごとトリコミ→表示だと、古来紙新聞の持つメリットが実現するのかもしれません。・・・もちろんお分かりかと思いますが、「研究された最適な視覚性」は、紙媒体としての最適化であり、ディスプレ表示は、研究の対象となっていないのではありますが。


  閑話休題。視覚性云々はさておいて、丸ごと再現・配信のメリットを考えてみましょう。インターネットのポータルサイト・ニュース。確かに、速報性には、大変優れた媒体であると思います。現在では、テレビのニュース速報以上に迅速に、一行テロップ以上の情報量を人々に伝達しています。おもしろいですね。速報性に関しては、活字媒体(新聞)<映像媒体(テレビ)が定説だったのに、ネットの普及により、映像媒体(テレビ)<<活字媒体(ネットニュース)という活字復権が生じているのです。


  しかし、大見出しに毛が生えたようなネットニュースは、詳細な解説記事や特集記事に弱みがあるようです。特集記事は、例えば「ハリケーン対応の遅れと大統領支持率」なんて切り口から、アメリカ南部の歴史的位置付け、地球温暖化京都議定書批准拒否のツケなど多彩な展開を見ることができます。この分野は、週刊誌のお家芸として定着しているのかもしれませんが、やっぱり朝の新聞でコーヒーを飲みながら読むのは楽しく、目覚めの体操になるものです。


  そして、毎朝、連載小説を読めるのも楽しみにしている人もいるでしょう。波乱万丈の小説の続きを待ち遠しく思っているご隠居さんとか。
  天上天下日本経済新聞では、裏一面に「愛の流刑地」なるポルノ小説も驚きと評判の渡辺淳一氏の連載物が掲載されています。「挿絵がエッチで、電車内で(同面に掲載中の)「私の履歴書」が読めなくなった!!」とのサラリーマン諸氏の苦情も蹴散らして、ずいぶんフィーバーしているようです。私は読んでいないのですが、にっけいしんぶん新聞さんのサイトで、毎日ツッコミを入れられているということは知っています。こちらは時々覗いては吹き出して、愉快な気分にならせてもらってます。


  このように周辺情報から興味が湧き、自分で深く掘り下げて考えたり、専門書を紐解いたり出来る、それが新聞というメディアの特性であり、そういう意味で産経新聞社の試みの成否を見守りたいと思っている私です。


p.s.
新聞各紙も特集記事には、
大いに注力している姿勢が窺えます、
日曜版など週末版?の充実振りは嬉しい限りです。
日経新聞の宅配限定のthe nikkei magazineなんかはキラキラ広告が眩しいです。


p.s.
東京新聞の連載物「この道」。
現在ボクシング元世界チャンピオン輪島功一氏が執筆しています。
臨場感溢れる文体で、次回が待ち遠しい連載物に仕上がっています。GJ!!