考察:仕事ってなんでしょう?

  今日は、温泉休み明けの日でした。
  精神的には、「いっちょ!がんばって、火の玉の如く、がんばろう!!」という、修辞学的矛盾に満ちてはいるけれども、その心意気は買って欲しいものだよね−−−!という勢い盛んな朝の私であったわけですが。。。


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  仕事について考えてみました。
  参考書は、黒井千次「働くということ」(講談社現代新書)です。
  この本は、要約すると、働くこととは金、生活のためのみにあらずや!という話であります。出版が1982年でありますから、「稼ぐが勝ち」(堀江貴文)という極論を論ずるに、まだまだ不可能な時代の主張であります。



  現代(1982年)の仕事(働き方)は、


>製造工程のどこかの一端に参加して働いているに過ぎない


  という分業体制が、仕事という活力を削除してしまっているのである。本来、仕事とは、全体に携わってこそ満ち溢れるものであり、責任が個人に帰すべきものである。と言っているようです。
あるいは、


>(勝海舟の)「氷川清話」を読んだのは会社に入ってから、十年以上経ってからであり(略)
>なんだ、明治の中期も今もあまり変わっていないではないか、
>というのがぼくの感想であった。


  というように、仕事とはすべからく普遍的なモノであるということを述べています。


  昨日のテレビで、大工さんが、「家を作ることは、地図に残る仕事だ」と胸を張って、宣言していました。言われてみると、言われるまでも無く正論、正鵠を射るなのですが、そのような幸せな「仕事」をやれる人は、あんまりいないのじゃないのかなあ、という諦念に溢れてしまいます。


  だがしかし、諦念が、ニヒリズムに昇華して、「仕事なんて、カネのためだぜ、ベイベ!!」とか、「仕事?六本木に来るためのナリワイに過ぎんよ!ハニー」なんていうことのないように、これからもイロイロと考えたいなあ、と思っている私です。


p.s.
作者、黒井千次
物語「黄金の樹」はとても感銘深き一冊です。
シリーズ物の最終巻だとおもいますが、単独で読んでもグッときますよ。