時評:空き缶の行方・・・

  最後に、神風が吹くかと思いきや、雪崩に飲み込まれるように否決された郵政民営化法案。最初の一撃の興奮冷めやらぬ中、小泉首相は、衆議院を即日解散し、今後の焦点は9.11総選挙に移っていますね。


  余談の話ですが、今後の政局の行方について少し考えてみましょう。
  あえて仮想敵を作り、巧みに操ることによって自軍の「正当性」を訴え、本質的にはカウンターパートとして機能させてしまう小泉戦略。軍事史の観点からは、決して目新しい戦略ではありません。しかし、今回ばかりは敵を作りすぎてしまったのでは?と素人の私は思ってしまいます。
  まずいわずもがなの筆頭、地方の集票基盤である郵便関係者。そして昨日の会見の解散演説で謳った改革断行に伴う削減ターゲットとなった公務員の方々。更には、政局直前の政府税調報告で触れられたサラリーマン増税は、都市部の会社員を敵に回しましてしまいましたね。おまけとして、その内幕暴露で小泉チルドレン猪瀬氏が「非生産的なパラサイト専業主婦が増殖している」と発言したことで、ヨン様親衛隊のオバチャンたちも敵に回しました(←難敵!)。
  とまあ、枚挙に暇のないほどに敵を生産した小泉「郵政」自民党軍がどうのように戦うのか?戦いの行方に目が離せない軍事オタクの私であります。


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  と、ここまでは、長い長い余談の話。
  今朝の日本証券新聞というマニアックな新聞に、「どうなる東京市場」という見出しで中々おもしろい統計数字が掲載されていました。1970年以降の衆議院解散と日経平均株価の推移の対照です。株価の推移は「解散日の株価」と「一ヵ月後の株価を比較しての騰落率で示されています。
  これをみると、計10回の解散のうち一ヵ月後に株価が下落したのは3回。うちもっとも大きな下落率を記録したのは90年1月の海部内閣における「消費税解散」だそうです。解散日:36,778円(←すごいですねえ!)から、33,321円へと下落して-9.4ポイントの下落率を記録しています。翻って上昇率一位は、72年の田中内閣における日中解散で、上昇率+6.9ポイント。その他8回については、大体5ポイントのレンジ内に収まっています。


  こうやってみてみると、一ヶ月というスパンでの計算結果ということもあり、それほど政局が経済に与える影響というのは見えにくいのですが・・・。


  さて、今回の郵政解散(仮称)では、どうなるのでしょうか?
  郵政法案は、徳川埋蔵金とも山下財宝とも称される200兆円もの郵便貯金が、外資を含めた民間に開放されるか否かを問うた側面もあるわけで、否決されたことによる外資売りがどうなるのか気になるところです。
  いまのところ大きな動きはないようです。外人さんは、今頃、海辺で涼しく素敵にバカンスかな・・・ばかやろう!



p.s.
解散ネーミングを追ってみると
00年6月の森内閣神の国解散」。
うーん、ありましたねえ、懐かしいです。
このたび再びテレビでフューチャーされていますね。
今回は、潰れたビール缶と干からびたチーズを手にして、
記者団に囲まれて苦虫顔で「変人以上だな!」と赤ら苦虫顔で登場していました。

襟元ダラリンな姿は、
デス・イズ・クールビズ効果極まれリで、
お花見季節の上野公園インタビューみたいでしたが。
・・・クールビズの終焉にならないことを祈るドロリーマンな私です。


p.s.
敵でアルプスを刻む小泉さん。
次の一手は、8.15靖国神社参拝で、
与党勢力、公明党も敵に回すような気がしますが、さてさて。