社会:戦いのゆくえ。攻略本片手に、勉強しよう!

 前回の続きです。


 檄文調子の見出しの他に、「TOB」「ポイズンピル」「ワー・チェスト」「クラウンジュエル」「レーダー・アラート」「レバレッジド・バイ・アウト」etcという専門用語も平然と使われていますね。中には、軍事・戦略用語に由来する言葉も混じっています。ワイドショーで、わかりやすく解説している(らしい)のは、各テレビ局のやさしさでしょうか。
 私のよく行く焼鳥屋でも、こぶしを振り上げて「リーマンも腰を引き気味だし、ライブドアのワー・チェストは大丈夫なのか?」「焦土作戦の遂行には、後方に肥沃な戦略拠点が控えていることが不可欠だぞ!フジ参謀はわかっているのか?」と、熱燗を片手に熱く語るサラリーマンがたくさんいらっしゃいます。外見は、普通のおじさん達ですから、軍事マニアの方々が、「焼鳥屋で戦略会議を開こう(・∀・)ヤッホー!イイネ―!!」オフを開いて、楽しんでいるわけではないでしょう。


 この一連のガチンコ対決。1980年代、アメリカ資本市場では、日常茶飯事の出来事でした。昨日は、ドコソコが炎上したけど、今日あっちのイナセなあいつがホワイトナイトとなってドコソコ陣営に付いたらしいぜ!というような話ですね。その当時、証券業界や関係企業に身を置いていた方々は、リタイア先でのんびりとコーヒーを飲みながら、今回の騒動に懐かしさを覚えていらっしゃるのではないでしょうか?



 歴史を教訓に未来を占いたいという進取の精神旺盛な方は、遠藤幸彦「ウォール街のダイナミズム」(野村総合研究所)がまとまっているので、一読されると勉強になりますよ。あと、直接には関係ないですが、蔦川敬亮「ニューヨーク探検学」(原書房)は、当時の最先端ニューヨークの風物を描いたおもしろい本で、いわば80年代アメリカ資本市場の生活史です。「ヤッピー」「パワーランチ」「カウチポテト」等、懐かしい言葉が満載ですよ。この本については、最近読み返して、とてもおもしろかったので、いずれ別稿で詳しく書いてみたいと思っています。


 ところで、ホリエモンの支持層。てっきり、リッチでヒルズな生活に憧れる若い人が中心かと思いきや、五十代半ばのいわゆる「団塊の世代」が大きな支持層になっているそうですね。ちょっと驚きました。彼らは、学園紛争にも「従軍」した世代ですので、今回のようなドンパチに共感を覚えるのでしょうかね?あるいは、ネクタイをゲバ棒に持ち替えて「祭りの季節は終わった」とつぶやき、不本意な宮仕えをして高度成長に寄与して、今、定年を迎える彼ら。自分たちが成せなかった既成秩序の打破!を息子世代のホリエくんに託しているのかもしれませんね。
 東大安田講堂での立て篭もりは1969年。その翌年に、大阪万博が開催されています。そして、今年も愛知万博が開催されます。なんか、歴史(なんて大そうなものじゃないか)の巡り合わせは、おもしろいですね。


 とあれ、戦いのゆくえに目が離せません(・・・本音は、飽きてきたよ)。


p.s.
TOB」以下の合計6つの言葉。
先日、述べた檄文見出しのどれか一つと関係があります。
(例えば「TOB」は、「TOB戦線で・・・」と関係がありますね)。
それでは、残り5つの言葉と関係が深い檄文見出しはどれでしょう?
皆さんも、ティー・ブレイクの時間にでも、イロエロと考えてみてください。


p.s.
ガチンコ勝負の一番の楽しみ方は、
どちらかの陣営を応援することですが、
本稿を書くに際しては、公正中立のスタンスで慎重に書いたつもりです。

あと、いわずもがなのことですが、
本文中の檄文見出しは、断りを入れましたとおり誇張されていますし、
全て私の創作(というか妄想の表出)です。本気にしないでくださいね。